Aさん(72歳女性)のご主人が死亡。2人の間に子供はいなかったが、ご主人には離婚暦があり、50年前に一児(Bさん)をもうけた後、離婚してAさんと再婚していた。
そのBさんとは50年間音信不通で、どこに住んでいるのか、生きているのかさえもわからない状況であったが、相続権は、唯一の子なので、Aさんと同様の2分の1となる。
Aさんの依頼は、「主人の遺産は、40年間の夫婦生活で地道に築いたものであり、渡したくない。Bさんを探して、その旨を伝えてほしい」というものであった。
そこで調査に当たったところ、Bさんは同じ県内に在住していることがわかり、会ってAさんの考えを伝えたが、Bさんも「50年間父親がいなかった寂しさを考えても、子供としての権利は主張する」と妥協することはなかった。
双方ともに直接会いたくはないとのことだったので、当職が仲介してお互いの考えを伝えることとなった。
その後、何度かBさんと会ってAさんの思いを伝えた結果、最終的には、居宅(マンション)は「Aさんの単独名義」に、預貯金(約1,000万円)は「Aさんが7割、Bさんが3割を取得する」という分割内容で落ち着いた。